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香港中国情報源

フリーランスライター 深川耕字

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【連載】揺れる香港−各派リーダーに聞く 3: 立法会議員 ●(さんずい+余)謹申氏

記載日:2014.11.22

中台統一は香港動向次第

香港の占拠デモと民主化動向について史上最多得票で当選した民主党の謹申・立法会議員に聞いた。
(聞き手=深川耕字、写真も)

 ――占拠デモは今後、どれぐらい継続するのか、撤退するのか。

●(さんずい+余)謹申 当初、金融街の中環(セントラル)を占拠するオキュパイ・セントラル(和平占拠中環)運動が大学副教授や牧師ら3人を中心に行ってきたが、9月28日からは学生団体を中心とした雨傘運動に軸足が移り、世代を超えた社会運動に変わった。民主党としては世代や各団体の壁を超えた共通組織として「五方会議」を立ち上げ、政府との対話を共通の窓口で交渉できるようにした。

 ――五方会議では政府との交渉をどう展開する動きか。

 交渉は3段階あり、@8月31日の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会での選挙改正案を完全撤回させるA香港大学生連合会(学連)が7日〜12日に北京で行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)期間中に北京を訪問して李克強首相ら中央政府幹部と対話B香港ナンバー2の林鄭月娥政務官と対話で解決という順で難易度が高い。

 ――民意を勝ち取るために立法会では民主派議員はどう動くか。

 「住民投票」に代わる手段として立法会議員が辞職して補欠選挙に持ち込む準備をしている。香港全域で議員を選ぶ「超級議席」枠の私を含む民主派3議員のうち1人か、あるいは全5選挙区選出の民主派議員各1人が辞職し、制度改革案を争点に補選を行って民意を問い直す。争点は梁振英行政長官の辞任勧告と8月末に決定した中国全国人民大会代表常務委員会での行政長官選挙改革案の廃案だ。「超級議席」枠で辞職濃厚なのは私より先輩の何俊仁(アルバート・ホー)前民主党主席だろう。

 ――五方会議では政府対話の中心を学生リーダーにするのか。民主派の立法会議員らが取って代わるのか。

 この点は複雑で一概に言えない。五方会議は2日に1回開かれ、政府対話の最も有効な方法を模索している。テントで寝泊まりする状態を永遠に続けるか、撤退するか、反民主派の動向次第だ。

 ――中国政府や梁振英行政長官は香港の占拠デモについて外国勢力が関与していると批判している。

 大規模デモとなった7月1日や10月1日には参加者の多額の募金が集まり、食料や水の配給、ゴミ処理など占拠デモを維持する資金は募金から賄っているので外国勢力の関与・介入はない。中国側は一致結束するためにこんな批判をしているが、親中派の曽ト成立法会議長でさえ「外国勢力の関与はない」と分析しているのは、率直で正しい。

 ――次期行政長官選挙では民主党は誰を候補者に推す見通しか。

 民主派は統一候補を決めていないが、梁家傑立法会議員や劉慧卿民主党主席、余若薇公民党主席、李卓人立法会議員などが挙げられるだろう。先回の立法会選で史上最多の得票だった自分も立候補する意思があるかどうか、中国共産党から意思確認があったが、選挙制度が民主化されなければ立候補しても意味がない。

 ――2017年の行政長官選をどう処理するかで中国の対台湾政策も変わるか。

 ケ小平の先富論に習い、台湾の馬英九総統は「先に民主を得る者が先に得よ」と演説し、中国の香港政策を批判している。中国の習近平国家主席は中台統一に向け、香港問題をうまく処理するのは簡単でないことは自覚しているはずだ。習主席が独裁者になるか、改革者になるか、香港行政長官選の制度改革をどうするかで決まっていく。


【取材メモ】民主党の立法会議員は大半が中国本土への入境が許されず、海外旅行は日本が多い日本通。取材時、立法会の投票時間と重なり、途中数分間、投票のため退出。民主党のニューリーダー最有力。

【●(さんずい+余)謹申】1963年3月、香港生まれ。香港大学法学部卒業後、弁護士となり、1991年、最年少の28歳で立法局議員となり、立法会保安事務委員会主席など歴任。12年の立法会議員選挙では最多の31万票余で当選。






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