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香港中国情報源

フリーランスライター 深川耕字

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【連載】揺れる香港−各派リーダーに聞く 4: 全国人民代表大会代表 呉秋北氏

記載日:2014.11.22

デモ反対署名こそ「民意」

香港民主派が幹線道路で占拠デモを続けている問題について警察による取り締まり強化の署名活動を展開した全国人民代表大会(全人代=国会)代表の呉秋北・香港工会連合会理事長に聞いた。
(聞き手=深川耕字、写真も)

 ――学生ら民主派の占拠デモに反対する「保普選反占中大連盟」(周融召集人)は違法デモを警察が取り締まることを支持する署名活動を先月末から9日間行い、183万件の署名を集めたが、民意を得る目標に対して同連盟の発言人(スポークスマン)として結果をどう見るか。

呉秋北 人口700万人の香港でデモの賛否について明確な意思表示をしていないサイレント・マジョリティー(物言わぬ多数派)が署名活動ではっきりと反対の表示表明することが重要だ。170万人以上の署名が目標で達成できた。警察は非合法的に占拠するデモ隊を速やかに退去させる民意を得ている。

 ――香港警察がデモ隊の占拠を強制排除させる時期はいつごろか。

 予測するのは難しいが、7日〜12日に北京で行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)後が濃厚だろう。寝泊まりするデモ参加者が極端に減る時期であれば衝突も最小限で済む。

 ――学生を中心とする9月末からの占拠デモは、中・東欧や中央アジアの旧ソ連圏で親米勢力が政権を覆した「カラー革命」になぞらえた「革命」なのか。

 政府転覆を目論む香港版のカラー革命だ。国外勢力が支援する親欧米クーデターであり、ジーン・シャープ著「独裁体制から民主主義へ―権力に対抗するための教科書」に政府転覆のための198の手法がマニュアル化されていて、政府へ不可能な要求を突きつけて時間稼ぎする同じ手法を使っている。

 ――政府の許可を得ずに占拠デモを行った罪状を認めて警察に自首し、撤退して自宅に帰ろうとの動きもある。

 デモ参加者は占拠自体が違法であることを自覚している。暴動を起こした後、時間を経て自首するとの稚拙な言い訳に合法性はない。

 ――民主派は立法会(議会=定数70)で8月末の全人代常務委員会が決定した行政長官選挙の制度改革案に反対票を投じて廃案にしようとしている。24票以上の反対票があれば廃案になり、民主派は27議席あるので現実味があるが、どうするか。

 2017年の行政長官選挙では全人代の法案通りに実施できれば1200人の選挙委員会による間接選挙から500万人の有権者投票による普通選挙という大革新となる非常に重要な選挙だ。民主派議員らが廃案に追い込むとすれば、民意に逆らうことになる。世論調査でも5割以上が普通選挙に賛成であり、民主派は冷静に考えて法案通過を選択してほしい。そうでなければ次回選挙で敗北するのは自明の理だ。

 ――民主派は香港全域で立法会議員を選ぶ「超級議席」枠の議員か、全5選挙区選出の民主派議員各1人が辞職し、制度改革案を争点に補選で民意を問う動きを加速させているが、どう見るか。

 超級議席枠は民主派と親中派の得票差が小さく、民主派は敗北するリスクがある。選挙区選出の5人が辞職すると、定数70のうち現有27の民主派議席数が重要議案を否決できる24議席を下回り、補選までに制度改革案が採択されるわけで、やれるものならやってみろと言いたい。


【取材メモ】親中派の若手エリートだが、二世議員ではなく父親は教師。香港の親中国系労組でリーダーとなり、7月以降、民主派の違法デモを警官が取り締まることを支持する署名活動団体の発言人に。

【呉秋北】1970年、中国福建省生まれ。香港で育ち、香港の大学卒業後、中国社会科学院博士課程を修了。香港工会連合会理事長、香港特別行政区の全国人民代表大会代表(中国の国会議員)を務める。原籍が福建省で同省アモイ市政治協商会議常務委員。






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