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フリーランスライター 深川耕字

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【連載】揺れる香港−各派リーダーに聞く 5: 公民党副主席 陳淑荘氏

記載日:2014.11.22

長官選挙全人代決定見直しを

香港の幹線道路を占拠するデモの行方について民主派政党・公民党の陳淑荘副主席に聞いた。(聞き手=深川耕字、写真も)

 ――8月末の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会による香港行政長官選挙改革案に対して、9月、頭を剃ったのは抗議の意味合いが大きいのか。

陳淑荘 全人代が決定した行政長官選挙改革案では、立候補には指名委員会(1200人)による過半数の推薦が必要で立候補者数は2〜3人と規定している。親中派が約8割を占める指名委員会で民主派は立候補すらできないことに対する憤りを表した。香港の金融街・中環(セントラル)を占拠するオキュパイ・セントラル運動は当初、女性参加者が少なかった。一緒に頭を剃った抗議者46人のうち女性は自分一人で、香港人女性として非暴力による抗議の意志を表す意味もある。こんな法案を黙認する梁振英行政長官は辞任すべきだ。

 ――デモ現場での活動を直接行っている立場から見て、今後のデモの「出口」はあるか。

 占拠デモを継続するか、撤退するか、見通しはついていない。香港では北アイルランドとは違い、住民投票が合法化されていない。立法会議員が議員辞職して補欠選挙で民意を問う形が住民投票に匹敵する意味があるので民主派議員の辞職による補選が浮上している。2010年にも議員辞職による補選が行われ、私も含め、当時、民主派議員は5人全員再選された。香港政府は現状では市民の公平性を十分に表せないので補選で民意を問うしかない。

 ――デモを主導する学生団体幹部が北京に行って李克強首相と会談したいとする計画もあるが、中国政府との対話は進むか。

 急進民主派の梁国雄立法会議員と同様、学生団体の計画は北京行きの飛行機に搭乗することすら現実的には難しい。中国は香港にとって母国であり、香港政府、中央政府との対話を実務レベルで進めることが最重要だ。雨傘革命がもっと高いレベルの社会運動になるには、中央政府が8月末の全人代決定案を見直す余地があるように認めてもらわない限り、前に進まない。

 ――3月、台湾では学生団体が立法院(国会)を占拠し、中台貿易協定の見直しを成功させた。香港では学生団体主導で政府との交渉をしているが、交渉が難航している。違いは何か。

 台湾トップの総統は民主的な選挙で選ばれ、学生たちの行動に同情的な民意を汲(く)み取りやすいが、香港トップの行政長官は間接選挙で中央政府が認めた人物しか就任できず、中央政府が決定した法案に学生側が反対しても香港政府は受け入れられない立場だ。 台湾では若い頃、反政府活動をした人々が大学教授になって若者を学術的に指導している。私も最近、台湾を視察し、台湾の立法委員(国会議員)選挙や学生運動、社会運動を研究した。

 ――公民教育に愛国教育を導入しようとして香港立法会で法案が廃案に追い込まれたが、香港で中国の愛国教育をどの程度、進めた方が良いか。

 一方的な歴史認識による洗脳教育であってはならないという反発があり、中国史の授業は必修科目から選択科目になった。香港は中国との経済依存を強めると、政治も取り込まれ、国際競争力が失われる。一国二制度による港人治港(返還後に香港人が高度な自治を保つ)が最優先だ。


【取材メモ】香港政府庁舎前では民主派ラジオ局による公開ライブ放送を行っていて熱烈な支持者を前に政治トーク。9月、一国二制度を脅かす中国政府への抗議として髪を剃り、超ショートヘアに。

【陳淑荘】1971年9月、香港生まれ。香港大学卒業後、弁護士となり、2008年から4年間、民主派政党・公民党所属の立法会議員。原籍は上海。公民党外務副主席で芸能人としてラジオやテレビにも出演中。






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