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フリーランスライター 深川耕字

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【連載】揺れる香港−各派リーダーに聞く 6: 「愛港之声」主席 高達斌氏

記載日:2014.11.22

忍耐と時間が解決の糸口

香港の学生団体ら民主派が幹線道路で占拠デモを続けている問題に対し、親中派の民間組織「愛港之声」の高達斌(パトリック・コ)主席に聞いた。
(聞き手=深川耕字、写真も)

 ――デモに対する中国政府の香港政府への指示は何か。

高達斌 「流血するな」「妥協するな」の2点だ。警官隊が強制的に排除すれば流血の事態も想定されるので警察は動けない。デモ隊の要求に妥協しないということはデモの撤退もない。署名活動で警察支持という民意を示すことで警官隊によるデモ隊排除を行いやすくするしか選択肢がない。強制排除前、占拠デモ参加者が違法性を認識して自首し、撤退することが最良の道だ。中国政府がその気になれば2日間で解決できるだろうが、武力は使わず、平和裏の収束を望んでいる。

 ――デモ隊を排除する警察の行動を支持する署名活動では約183万の署名が集まったが、民意を示せたか。

 幹線道路を違法占拠しているデモを完全排除し、一日も早く治安秩序を取り戻すために香港警察を支持する市民の予想以上の賛意があり、「愛港之声」も署名活動で民意を実感した。デモ隊は警官隊の催涙弾使用ばかりを非難するが、警官隊と対峙した際、先に雨傘の尖端を武器に使って攻撃したのはデモ隊側だ。

 ――幹線道路を占拠している金鐘(アドミラルティー)、銅鑼湾(コーズウェイベイ)、旺角(モンコック)のうち、旺角はデモ主導する学生団体の統制が取れず、暴力団による排除トラブルも散見される。デモは収拾できるか。

 デモを排除する側ではなく、違法デモを続ける側に暴力団が介在し、居座っている。繁華街の旺角の場合、周辺の商店はデモの悪影響で売り上げが下がり、不満が高まっている。香港人は法を遵守し、民主主義を重視するが、今回の占拠デモはあまりにも急進的で民主派の中でも香港カトリック教区の陳日君枢機卿のように自宅へ退去することを主張するなど、意見が割れている。2011年9月に始まった米ウォール街での占拠抗議も沈静するまで2カ月かかっており、忍耐と時間が解決の糸口だ。デモ沈静期に警察が必ず強制排除する。

 ――中国政府は占拠デモを主導する学生団体リーダーが香港独立派だと非難しているが、その通りか。

 極めて少数だった香港分離独立論がここ1、2年、若年層に強い悪影響を拡大している。香港の国際的地位が下がると、中国本土の人権、文化、習慣の問題点から嫌中感情を醸成させ、「香港城邦論」などの著作がある陳雲嶺南大学助教授が香港独立論の首謀者の一人だ。行政長官を中国の関与なく香港の有権者のみで選びたいという意見の背後に香港独立論があるが、彼らも現実的に困難との共通認識はある。

 ――民主派の立法会議員は議員辞職による補欠選挙で民意を問う動きだが、どう見るか。

 議員辞職による補選を行えば、世論調査や署名活動でもデモ反対が圧倒的に多く、民主派は落選するケースが増える。支持率を見ても、建制派(親中派)が立候補すれば、建制派が勝てる。立法会議員の辞職による補選は民主派内でも反対意見があり、同情を買おうとするパフォーマンスだけで非現実的だ。2012年の立法会議員選挙で有権登記者数は320万人で約180万人が投票した。うち民主派は約90万人、親中派は約80万人で民主派がやや有利だったが、現在は警察を支持する署名活動で183万件の署名が集まったので有権登記者320万人のうち少なく見積もっても半数以上が占拠デモ反対を支持しているので建制派が圧倒的に有利だ。民意はわれわれにある。

(終わり)


【取材メモ】手弁当で集まる幹部戦略会議では参加者らが歯に衣着せぬ香港人特有の激論で民主派封じの対策を重ね、結束させるまとめ役。法輪功を批判し、庶民階層の親中派民間運動の先駆けとなっている。

【高達斌】香港生まれ。香港理工学院卒業後、親政府派の新民党メンバーとなり、香港の親中派団体「愛港之声」召集人、同主席に就任。中国共産党深●(「土へん」に「川」)市委員会統戦部が管轄する深●市海外聯誼会理事。61歳。






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